2017/06/03
隼人城/鹿児島県霧島市
隼人城跡は公園になっています。訪問日は2015年6月13日です。

拡大図
訪問前に下調べした時、ここに来ようかどうしようかかなり迷いました。
迷ったレベルで言うと「90%やめとこう」という感じです。
なぜかというと「遺構は全く見られない」そうだからです。

それでも訪ねたのは「そうは言っても、何か痕跡くらいはないか?」という反骨心から。
ガッツリ重機でやられちゃった場所で「ここは〇〇だったかも」と勝手に想像するのです。
最近、平城跡を訪ねた時にこんな妄想してるのに気づきました。
これはこれで、なかなか楽しいです

・・・この写真から、超立派な大天守があった!とは想像出来ませんけどw

ちょっとバブリーな頃に造られた公園には、必ずと言っていいほどあるブツ発見!
公園巡りをしている訳でもなく、乗らないクセに、観覧車を見てはしゃぎます。
おしゃれな感じの物見櫓だなんて、そんな妄想もしてませんけど


それはさて置き、事前に公園の案内図を見て怪しいと思ったのが一番奥です。
図でいうと、上の方の細長い部分です。
もしかしたら、ここに曲輪や堀などの名残が無いか?と感じていました。

手前側は野外ホールとなっています。
バーベキューには丁度よさげですが、火気厳禁となっています。
ここは城跡っぽい雰囲気は感じられず。

そのまま奥へ進むと、突き当りに展望台が見えました。
やはり先人達の言う通り、城跡らしさが感じられないのか・・・

そんな風に思いつつも、先端まで行きUターン。
このままではせっかく来たのに収穫ゼロだ!と感じつつ、目をお皿にしてみました。
すると、野外ホールと展望台の間で、ほんのちょっと窪んでいるように見えてきました。
普通に撮るとただの公園ですが、望遠で圧縮すると、地形を大げさに表現できます。
もしかしたらもしかして、というレベルですが、堀跡に見えなくもありません。

この窪みをなぞって反対側に行くと、巨大滑り台の下まで続いていました。
細長い山上が横一線に窪んでいるのは、かなり怪しいと思いませんか?

◆歴史◆
某大聖典に書かれている事をなぞってみます

熊襲・隼人の城だった伝承があります。
熊襲と隼人は、だいたいこの辺りに暮らす人々を指す言葉だったようです。
何が違うんだろう?とググってみると、時期が違うようです。
あんまり興味ない部分なのでザックリ書くと・・・
熊襲:古事記など伝承の中に登場する
隼人:日本書記などの史書で平安時代まで登場する
といった感じです。
公園を造成する際に発掘調査が行われ、縄文時代や弥生時代の遺物が見つかったそうです。
かなり古い時代から、ここで人が暮らしていたことが裏付けられました。
熊襲は「朝貢せず」など中央政権に従わない記述が多いのだそうです。
一方の隼人はおおむね中央政権に従っていますが、叛いたこともあるようです。
遠い昔の事なので、「城」といっても「大きな集落があった」ということかもしれません。
応永年間(1394~1427年)に税所左馬助淳弘が居城としていました。
というのでググってみましたが、税所淳弘がどのような人物だったのかわからず。
だいたい「応永年間に隼人城にいた」ことくらいしかわかりませんでした。
ならばということで、いつもどおり周りから攻めてみます

税所氏は平安時代の1021年に下向して来た氏族で、大隅国の税の徴収に当たったそうです。
鎌倉時代には大隅国在庁官人その他諸々を代々務める、かなりの大族でした。
薩摩でいう大前氏と同じような立場だったんですね!
室町時代には、隼人城の約3km北にあった曽於郡城(橘木城)を本拠としていたそうです。
橘木城は、尾根を伝って南南西1kmにある姫木城に繋がる巨大な山城でした。
両方とも、昨年末行こうとして時間が足りず行けませんでしたけど・・・

地図を見てると、隼人城は橘木城の支城じゃなきゃ何だ?と感じる位に近いです。
そんな税所氏ですが、1483年に島津忠廉に敗れて本拠の橘木城を失い没落しました。
ただ、すぐ近くの姫木城は1379年に島津氏久が攻め落とし、本田氏に与えていました。
税所氏は親島津派と反島津派に分裂しており、税所淳弘は親島津派だったかもしれません。
1604年、島津義久が詰め城としました。
関ヶ原の戦で西軍に味方した島津家でしたが、1602年に徳川家康より本領安堵を受けました。
この時に島津義久は家督を甥の島津忠恒に譲り、舞鶴城を築いて移り住みました。
この舞鶴城の詰め城が隼人城でした。
島津義久が1611年に没すると、舞鶴城には娘で島津忠恒の正室・亀寿姫が移って来ました。
その後は島津家の直轄地となりましたが、外城ではなく地頭屋形が置かれました。
島津義久の死とともに、隼人城は役割を終えたものと思われます。
所在地:鹿児島県霧島市国分上小川
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