2013/02/16
小沢城/神奈川県川崎市多摩区
山城日和な冬の日曜日。近くに凄い城跡があるっぽいので行って来ました。
場所は川崎市多摩区にある小沢城跡。
よみうりランドの東側にあります。
とても目立つランドマークの近所ではありますが、道は細く入り組んでます。
ここもやはり城跡の名残なんでしょうかね。
iPhoneの地図で何度も位置を確認しながら、ようやく登城口に辿り着きました。
ここも城跡にあった図を加工して説明します。

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▲①登城口
登城口は立ち並ぶ住宅の隙間にひっそりとあります。
目印は2枚の白い板。
その脇にひっそりと「小沢城址緑地保全地区」と書かれた石碑があります。
道が狭いうえに駐車場が無いので、車での訪問はキビシイかも。

▲②登城路
登城路は竹林の中を進みます。
両脇には杭と針金の簡易フェンスがあり、「私有地立入禁止」と貼ってあります。
竹林の私有地って立入禁止がやたら多いです。
タケノコ泥棒が多いのでしょうか。

▲③空堀
広い郭の脇を通り過ぎて登り続けると突き当たりに空堀があります。
ここから峰伝いに左右に道が分かれます。
まずは右(東側)の城址方向へ進みました。

▲④物見台
ちょっとした高台がありました。
よそのサイトではそこは物見台の跡だと解説されています。
ちょうど笛の練習をされている方がいらっしゃって・・・
後ろを向いてる隙に1枚撮りました。

▲⑤井戸跡
さらに進むと堀切っぽい所があり、そこに井戸の跡がありました。
山城の生命線ですね!
そのすぐ脇には郭の広場が見えます。

▲⑤付近から見た郭の堀切
人工的にザックリ削られた堀切の跡。
こういうのに遭遇するとワクワクします(よね?)

▲⑥浅間社
さらに東へ進むと再び高台があり、小さな祠がありました。
ここが浅間社です。

▲浅間社から都心方向の眺め
浅間社から都心方向の眺めはバッチリ!
軍事的要衝として重視されたのがよくわかります。

▲⑦馬場
浅間社から南側に少し下ると馬場の跡があります。
馬場といっても30m程しかありませんが・・・
ここで馬を乗り回しても楽しくないような気がします^^;

▲⑧郭の跡
馬場の下には開けた場所があります。
ここが城の中心部なんですね。
登って来る時はこの郭の脇を通り過ぎ、峰伝いに回り込むようになっています。
小沢城が築かれたのは平安時代末期。
この頃から横矢があったのですね。
図では城域でないものの、竪堀の西側にある高台が気になったので見てきました。
登ってみると物見台よりも標高は高そう。
城を築く上でここは無視できないポイントじゃないかと思いました。

▲⑨富士講の広場
すると、登りきった所から西側にかなり広い広場に出ました。
これだけの広場が何も使われずにいたとは考えにくいのですが・・・

▲城址碑
城跡ではないと思ってた場所に説明板や城址碑がありました。
来る前に見たサイトには城址碑と説明板は載ってませんでした。
何だか騙し討ちに遭った気分ですが、ちょっとだけ得した気分ヽ(´ー`)ノ
説明板によると、ここは江戸時代に富士山を眺めに多くの人が登った場所なのだとか。
広場の東の端にある高台は富士塚だと書かれていました。
富士山信仰=浅間社
またひとつ歴史の勉強になりました。
小沢城は平安時代末に稲毛三郎により築かれました。
稲毛三郎重成は、町田市一帯を治めていた小山田有重の三男です。
小山田氏は秩父一族で、武蔵を治めた平清盛の四男・平知盛に仕えていました。
そのため、源頼朝が挙兵した際は平家方として戦っています。
ですが、源頼朝が安房で再挙してから秩父一族は源氏方に寝返ります。
そして、以後は源頼朝軍の主力となりました。
平家を滅ぼすと、戦功により小山田重成は頼朝の重臣となり、
北条政子の妹を妻に迎えました。
そして武蔵国稲毛庄(川崎市北半分)を与えられ、稲毛姓を名乗りました。
この時に稲毛重成は多摩川西岸の台地にいくつか城を築きました。
小沢城もその1つです。
稲毛重成は隠居すると枡形山城に移り、子の小沢重政が城主となりました。
ですが、源頼朝が没すると北条時政の専横が始まります。
源頼朝の重臣達は相次いで粛清されました。
稲毛重成も例外ではなく、従兄弟の畠山重忠の乱に巻き込まれ滅ぼされました。
小沢重政も殺害されましたが後に許され、難を逃れた子孫に城が継がれました。
その後、小沢城は戦略上の重要拠点として何度か登場します。
関東の覇者・後北条氏の3代目・北条氏康が初陣を飾ったのがこの小沢城です。
この時は両上杉氏と戦い、勝利を収めています。
城跡は川崎市の緑地保全地区に指定されているので、破壊される心配は無いですね。
登城口からは歩き易い遊歩道となっており、浅間社まで約10分なので気軽に登れます。
所在地:神奈川県川崎市多摩区菅仙谷
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