2022/02/11
江見根古屋城/千葉県鴨川市
江見根古屋城は、なぜか斜面直登で訪ねる城跡です。訪問日は2022年1月15日です。

登城路として紹介されるのは、江見駅裏の急斜面直登です。
登った所にあるのが、元々は八幡神社のあった曲輪です。
城の主要部は、大堀切の北に進んだ所です。
ここで城域は直角に西へ折れ、西尾根の付け根にも曲輪があります。
この曲輪の主郭側は岩盤を削っており、石垣も見られます。
西尾根には道があり、途中に削平地と小さな堀切があります。
尾根道はずっと続いており、こっちが登城路ではないかと思われます。
神社跡からは東にも細尾根が続き、小さな堀切の先に曲輪があります。
麓から見た感じでは、お寺の裏から尾根伝いに行けそうに見えました。
普通ならわざわざ斜面を直登なんかしないように思われますが・・・
伏馬田城や菅原城など、他の城跡でも数箇所そんな所がありました。
ここも、もっと行きやすい道がありそうに思われます。

1 江見駅東側の踏切を渡った所
年を越し、草木も眠る真冬の朝。
夜明けとともにバイクで現れたのは、1匹の城キチでありました。
なぜか無性に藪掻きがしたくなり、真っ先に思いついたのがココです。
クルマは、江見駅東側の踏切を渡った所にある空き地に停められます。

2 浄照寺の墓地入口
空き地から左へ進み、直角に右へ折れた先に墓地があります。
この手前で再び左へ曲がり、あぜ道を進みます。

3 山へ入る所
クルマが通れそうな広さのあぜ道は突き当り、ここで右へ。
山の方へと続くあぜ道を進みます。

4 山の手前にある藪
あぜ道の先は藪ですが、手前側は掻き分けたっぽい感じです。
ここを通る人が定期的に現れるのでしょうか。
ただ、先へ進むと完全に笹ウォール

「もはやこれまでか?」と心細くなりますが、そこは城キチ。
笹など無き物がごとく、掻き分けて進みます。
すると、ほんの10メートル程で下草のないエリアに到達します。
そこからは左へ進みます。
根拠は何もありませんでしたが、体が勝手にそっちへ進みました。

5 斜面にある道
2、30メートル進むと、斜面を登る道の跡らしきものが見えます。
あとはこれを辿って斜面を登るだけです。
サラっと書きましたが、これを見つけるまではかなり不安でした。

①-6 八幡神社跡
道の跡とは言っても途切れ途切れですが、上まで登ることが出来ます。
そして辿り着くのがココです。
斜面側には虎口が無いので、往時は直登などしなかったのでしょう

2015年に訪ねた時は、右端に瓦が積まれていました。
それも今では無くなり、少しづつ片づけられているようです。

①-7 八幡神社跡裏の高台
神社跡の奥は、櫓台のように高くなっています。
木々を刈れば、海側の眺めが抜群な場所ではあります。

②-8 大堀切
そんな櫓台的な所を過ぎると、地面が大きくえぐられています。
神社跡側からは深さ5メートル以上はある、大きな堀切様です

江見根古屋城で一番の見所です。

9 大堀切の北側
大堀切の北側は、細い尾根が削平されています。
自然地形なら、上側はこんもり丸みを帯びています。
ここは曲輪にするため、人の手が加わっているようです。

10 小さな堀切
細長い曲輪の途中に、浅い堀切が1本あります。
移動を妨げる程の深さではないため、区画を分けるものかもしれません。

11 主郭裏の細尾根
尾根は段々細くなり、やがて木々が密生したこんもりがあります。
ああ、歩きづらそう・・・

③-12 主郭
その裏に人の背丈ほどの段差があり、馬蹄形の曲輪があります。
ここが主郭のようです。
形を例えると野球帽で、木々こんもりが頭、主郭がツバの部分です。

③-13 主郭西下の曲輪
周りは急斜面に囲まれており、城域はここで折れます。
西側だけ歩けそうな尾根が続き、手前がザクっとしています。
どう見ても人工的に削られており、底は平らになっています。
これ、曲輪ですね!

③-14 主郭西下の石垣
主郭側は垂直に削られた岩盤で、尾根側には石垣が見られます。
房総半島の豊織系以外の城跡では、石垣は超激レアです


④-15 西側尾根にある曲輪
城へ通じる1本道的な尾根にはきっと堀切様が居るに違いない!
そう信じて進むと、細尾根の先に広い場所がありました。
綺麗に平らに馴らされており、お城の曲輪のようです。
ただし、土塁や虎口の類は見当たりません。
ただ平らで広いだけです


④-16 西側尾根にある堀切
尾根は再び細い1本道になり、道を塞ぐように木が倒れています。
よく見ると木の根元は、えぐれている以上に窪んでいました。
恐らく堀切脇の木が、堀切の中に向かって倒れたのでしょう。
ここから先は、ただの綺麗な山道でした。
途中で「もういいや」と戻りましたが、行ける所まで行けばよかった


17 八幡神社跡から東側尾根へ
今度は城跡から東へ伸びる、もう1本の細尾根を辿って来ました。
神社跡の南東側から行けますが、入口はよく見ないとわかりません


⑤-18 東側尾根
こちらの尾根にも堀切があるらしいのですが・・・
堀切なのかどうなのか?な窪みがいくつかあります。
一応みんな撮りましたが、堀切のようなそうじゃないような。
一番怪しい所は、西側と同じく木が横一文字に倒れている所でした。

⑤-20 東側尾根の切岸
細尾根は2箇所、登って下りるピークがありました。
その2つ目のココは、人の手で削られているように見えます。

⑤-19 東側尾根先端の曲輪
上の段差の先に、削平がやや甘い広い平坦地があります。
この平坦地は、左に1段低い平坦地が並んでいます。
海側の曲輪が、山側の曲輪を隠す役割を果たしていたようにも見えます。
◆歴史◆
不明

1986年に発見されており、1980年発行の某大聖典には載っていません。
私もよく山には行きますが、そこに城跡があると知っているからです。
城跡があるかどうかもわからない山になど、全く行く気が起きません。
見つける人には、きっとそういうセンサーが装備されているんですね!
しかも、攻略ルートが西尾根を悠々と登るのではなく斜面直登w
ただ1つ手掛かりになりそうなのが、山中の神社でしょうか。
だからと言って、山から山へと飛び回る気にはなれませんが・・・
記録も伝承も残っていないため、一時的に使われた砦と思われます。
曲輪は狭く削平も甘く水の手も無いので、長期滞在には向いていません。
南側の海辺の監視なら、使えなくもなさそうな気がします。
そういう用途なら、城の存在が気付かれてはマズイですし。
所在地:千葉県鴨川市東江見 GPSログダウンロードページ
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