2019/01/27
中崎城/宮崎県日之影町
中崎城は三田井家の重臣・甲斐宗摂の居城でした。訪問日は2018年12月30日です。

県道209号から城跡へ上がる道がココです。
現在この県道は、ココから西が「当面の間」通行止めとなっています。
東側にも通行止めと書かれていましたが、ココまでは通れました。
これから訪ねる方は、東側から行かれることをお勧めします。

道端には、小さく「中崎城址600m先」の案内があります。
しかし、目立たない茶色な上に、葉っぱに囲まれています。
冬以外は見えない、ステルス案内っぽいです


林道を登って行くと、城跡の前に説明板があります。
登る側からは木陰で見えづらく、振り返るとこんな感じに見えます。

ここから城内に向かって道があります。
幅も広く、傾斜も緩やかで、4WDなら車でも通れそうです。
私見ですが、この道は後世に通されたものと思います。
通りやすい道がいきなり主郭につながっていますからw

道を登ったピークがココです。
ここで道が分岐して、左が城跡です。
城の入口なのに、まったくそんな感じには見えません。

入口から入った平坦面が主郭です。
狭く見えますが、手前1/3が杉林だからです。

『宮崎県中近世城館跡緊急分布調査報告書』の縄張図を見ながら散策。
東側の腰曲輪は、木が茂っていて見晴らしは×です

小さな曲輪が段になっているような気がします。

主郭奥はススキ伸び放題ですが、この先にも平坦面が続いています。
城跡を整備しようと木を伐り、そのまま放置?といった感じです。

この草原の真ん中に、甲斐宗攝居城の標柱があります。

反時計回りに主郭外周を回ると、北側にも腰曲輪があります。
こちらは木陰なので、下草が無くとてもよく見えます。
手前右が1段目で、その下にもう1段あります。

上の段の腰曲輪です。
そこそこの広さがあり、綺麗に削平されています。

北側の腰曲輪から主郭へ。
さらに半時計回りに進むと土塁があります。

さらに進み、南側には下りていく道があります。
ここが本来の虎口のようです。

ここから細い道を下ると途中で折れ、下の広い道へ。
しかし、道は途中で切れていて、下りることは出来ません。

下の広い道から見ると、先ほどの道の下側は削れて無くなっています。
そのため、ここから城内へ行くことは出来ません。
たぶんですが、広い道を通した時に削ってしまったんだと思います。
◆歴史◆
甲斐宗摂の城でした。
甲斐宗摂は高千穂の領主・三田井氏の家老でした。
元亀~天正(1570~90年代)に中崎城を築いたとされます。
元々は大人城主で、古来から続く人身御供の風習を止めさせています。
これが元で、三田井氏と仲違いしたなんて説もありますが・・・
地元の人には感謝され、今でも毎年大人歌舞伎が奉納されています。
甲斐宗摂は甲斐宗雪とも表記されますが、出自不明の人物です。
肥後の甲斐宗運の次男だ、なんて言う人もいるそうです。
1591年、甲斐宗摂が高橋元種に内通しました。
主家の三田井家は、1577年の伊東崩れの後は島津家に従いました。
翌年の耳川の戦では、島津軍の先鋒として活躍したそうです。
1587年、島津家は豊臣秀吉に攻められ降伏しました。
三田井家も降伏したのですが、領地については音沙汰無しでした。
そこで領地を接する延岡藩の高橋元種が、三田井親武と協議。
高橋元種が大坂城へ赴いて、豊臣秀吉に確認することになりました。
高橋元種は豊臣秀吉に、三田井親武に謀反の疑いがあると讒言。
その結果、三田井家の処置が高橋元種に一任されました。
高橋元種は三田井親武を攻めますが、容易には降せませんでした。
そこで、家老の甲斐宗摂を調略し、仲山城の寝こみを襲わせました。
当主の寝首を搔かれた三田井家は軍門に降り、戦は終わりました。
1595年、高橋元種に攻められました。
高千穂領を手に入れた高橋元種の謀略は、これで終わりませんでした。
高千穂には依然三田井氏が居り、甲斐宗摂も健在です。
なぜ寝返ったのかは???ですが・・・
1595年、今度は甲斐宗摂が謀反の疑いをかけられ攻められました。
中崎城を攻め落とされた甲斐宗摂は、鶴の平という所で自害しました。
甲斐宗摂亡き後、三田井鎮信も高橋元種の謀略に晒されます。
讒言を信じた三田井鎮信は、弟2人を相次いで処刑しました。
その後は酒色に耽るようになり、1598年に若くして世を去りました。
逆巻きで考えると、甲斐宗摂は高橋元種にとって邪魔だったようです。
開墾や治水、迷信打破などにより、甲斐宗摂は領民に慕われていました。
高橋元種が領民に受け入れられず、甲斐宗摂待望論が出ていたのかも。
もしかしたら、主家を継いだ三田井鎮信と仲直りしていたかもしれません。
所在地:宮崎県西臼杵郡日之影町岩井川 GPSログダウンロードページ
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